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宇月原晴明 信長 あるいは載冠せるアンドロギュヌス

信長―あるいは戴冠せるアンドロギュヌス (新潮文庫)作者: 宇月原 晴明出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2002/09メディア: 文庫

 アンドロギュヌスとは両性具有のことですから、なんとも意表をついた題です。信長は実は女性だったという小説がありましたが、こんどはアンドロギュヌスです。それだけ絵になる英雄なのでしょう、信長は。2006年ファンタジーノベル大賞受賞です。

 作者は、信長の素性を3世紀のローマまで遡って説き起こします。信長の血はシリアの太陽信仰から発し、『一つは西方に伸びてローマに花開き、もう一つははるか東方に向かい、日本に実を結んだのである。』ということとなります。東方は当然信長です。
 太陽と月、光と闇、男と女、姉と弟、この二元論を統一するのがアンドロギュヌスということです。
シリアの太陽信仰は日本に渡って卑弥呼と政治を司るその弟、姉アマテラスと弟スサノオに変じたといいます。織田一族の守り神である熱田は草薙の剣=スサノオのを祭った社であり、相対する伊勢神宮にはアマテラスが祭られている。この一族の血脈の中に時に生得のアンドロギュヌスが誕生し、それが信長である。よく分かりませんが、そんな深遠?な理屈で信長・アンドロギュヌス説が語られ、正史の裏で蠢くもうひとつの壮大な異端の歴史が展開されます。
 物語は、16世紀の信長と1930年ベルリンのシュール・レアリスト、アントナン・アルトーの世界が同時進行し、信長にフロイス、アルトーにナチが絡みますから登場人物は揃った様なものです。何しろ、方や黙示録を説く伴天連、方や聖遺物好きのナチですから、物語はどうしても伝奇へ伝奇へと傾斜していきます。

 面白いことは面白いのですが、この手の伝奇小説を読むには体力が要ります。
よって★★



http://e-tsurezure.blog.so-net.ne.jp/2008-10-22

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