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【尊厳死を考えるシリーズ.1】スイスの尊厳死援助施設 Dignitas
前回の予告通り、シリーズで尊厳死について書いていきたいと思います。

スイスのチューリヒにDignitas(wiki)と呼ばれるNPOがある。
人権擁護弁護士Ludwig Minelliによって「尊厳を持って生き、尊厳を持って死ぬ」をモットーに運営されている。
前回の記事で言及した通り、スイスの法律は、自殺幇助を『犯罪』としていない。厳密に記されていない、と言った方が正しいのかも知れないが、自殺幇助をする人間が「自分の興味から」実行した場合にのみ自殺幇助罪が適応されることになっている。
つまり、本人が安楽死を希望した証拠があるのならば、それを援助した側は罪に問われることはない。
この比較的リベラルな法律の下、このDignitasという組織が誕生した。

進行性で、最終的に死に至る病に冒された人々が、自分で希望した時に人生の幕を引くことを医療関係者が手伝ってくれる。専門知識を持つ医師が医療用の薬物を用いるので、本人が苦しむことはない。医師も看護師もボランティアでこの『安楽死』の手伝いをしている。

プロセスは以下のようなもの。

チューリヒに到着した患者は、まず医師の診察を受け、その上でやはり安楽死を望むかどうかが確認される。ここで「これ以上症状が進行することはない」「回復の可能性が高い」と言われて帰る人もいるそうだ。
医師の説明の上でやはり安楽死を望む場合は、後に法的に問題にならないよう、自らの意思で自殺幇助を望むというドキュメントが用意される。

そして希望した当日。
まず、吐き気止めを服用する。
30分後に、体重から計算された致死量の3倍の※注)バルビツレートを看護師から渡される。
「これが、あなたの最後のドリンクよ」という言葉と共に。そして患者は、シェリー酒を飲むように、その少量の液体を飲む。
5分以内に患者は昏睡状態に陥り、直後に心臓が停止する。
安らかで、苦痛のない死である。

薬品を飲む、又は、点滴を開始するという最後の行動は患者自身が行う。その様子は後に証人となる人物に見守られ、録画される。
死を迎えた後に警察が呼ばれ、検死官がやってくる。そして目撃者から証言を聞き、ビデオを確認する。

以上で、Dignitasにおける安楽死が完了する。
その後の葬儀、埋葬に関しても、希望すればDignitasでやってくれるそうだ。


『尊厳死』『安楽死』をプロが提供してくれるこの団体に、イギリスから訪れる患者も少なくない。
1998年に設立されて以来、868人の患者を「助けた」が、その内の100人はイギリス人である。自国では認められていない『安楽死』を求めて、患者はスイスへ飛ぶ。そしてそこで人生を終え、遺体となって母国へ帰って来るのだ。

このDignitasという団体は、その特性からか明かされていないことも多い。
自殺幇助反対派からすれば「殺し屋」なのだから、あまり公にできないというのは理解できる。
スイスでも、この団体の存在を不名誉だと感じている国民は多いのだ。

そんな国内の懸念とは裏腹に、ドイツ、イギリス等で、安楽死希望者の最後の目的地と認識されるようになったDignitas。

次回は、イギリスからそこへ旅立つ準備をしている人、また、旅立った人達の実例をいくつか紹介したいと思う。

※注)バルビツレートは、バルビツール酸誘導体の総称です。中枢神経を抑制する薬物。適応はてんかん発作や不眠症ですが、現在では殆ど使用されません。昔の2時間ドラマで、睡眠薬の過剰摂取による自殺とか他殺とか出てきましたが、恐らくこの系統の薬剤を指しているのでしょう。現在、睡眠薬として一般に処方されている薬物は、どんなに頑張って飲んでも余程のことがない限り死にいたることはない、安全な薬です。
http://absolute-fabulous.blog.so-net.ne.jp/2008-10-21

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