健康な暮らしをサポートし肥満や生活習慣病を招く食生活の改善などについて多く記載しています。

暴走する資本主義? (2)
 前項で書いたような社会問題を矯正する手段として著者は、要旨、次のように主張します。
 「労働法制を改善し、地域経済や環境に関する法制などの公共政策に期待する。しかし企業はそれに対抗してロビー活動を激しくするため、民主主義が本来の機能を生かせない。いまや企業の意に反した政策は実現しないのである。このため、企業のロビー活動を禁止し、企業を人として扱う法的擬制を廃止すべべきである」。具体的には「法人税をなくして企業の利益は各株主の個人所得などに還元・分割して徴収すべきであり、法人を刑事的に罰する法制度などもなくするべきである」などと書いています。
 ここに著者がもっとも主張したい点があるようです。しかし、これらは果たして実現可能でしょうか。
 労働法制や地域・環境規制などの公共政策はぜひ実現すべく努力すべきでしょう。我が国でも非正規雇用があまりにも広汎にいきわたった結果として、若者らの将来が危ぶまれています。早急に取り組むべきでしょう。輸出拡大による経済の拡大が図れない以上、内需を拡大して景気を好転させるよりありません。そのためには人びとの消費を増やさざるを得ず、そのためには賃金などの労働条件を改善するよりほかないはずです。設備投資減税がいわれていますが、企業は過剰設備を抱えることにならないかに慎重です。ここは最終需要である消費の拡大以外にありえないでしょう。幸い外貨準備高はたくさんあるのですから。
 企業のロビー活動がアメリカでは目に余るようです。これを規制できるものであれば、規制したほうがいいでしょう。具体的にどう規制したらいいか、その手段を日本にいては思いつきませんが、昨今の金融危機によって、アメリカ議会において、リーマン・ブラザーズの会長が詰問されているように、企業利益擁護の議論はさすがに下火になるでしょう。
 ついで、企業の法的擬制を廃して、たとえば法人税をなくして税の徴収を株主に訴求するというのは、ずいぶん大胆な提案です。この措置をできるものならアメリカでやってみればいいとは思いますが、いま以上に体制的な危機に陥ることを覚悟しておく必要があるでしょう。
 アメリカ企業の株主利益が大きく損なわれる結果、株価はさらに暴落し、アメリカから資金が逃げ出すことを覚悟しなければなりません。いまや金融危機の結果、資本主義の盟主たるアメリカの地位は揺らいでいますから、揺らぎついでにやってみるという決断はあるのかもしれませんが。

 「超資本主義に対する処方箋」として、より現実的なものは、アメリカで大いに発達させてきた金融資本主義への規制ではないでしょうか。本書では、それをどうしてうたわないのでしょう。ハゲタカ・ファンドやヘッジ・ファンドなどの金融手法は一方が儲けることがあれば他方がその機会を失うという類いのもので、世界全体で考えて腹がくちくなるわけでも、身の回りの生活が便利に豊かになるわけでもありません。「経済行為とは人びとの生活がより豊かになることをめざすもの」という本旨に照らせば傍流の行いです。これを経済的利益を追求する主要な手段とする体制は大いに疑問です。
 昨今の世界では巨大化した資金移動が、さまざまの問題を惹起させています。その根本にあるのがアメリカ発の金融資本主義です。金融的な手段によって利益を獲得するために開発された手法が、企業ののっとりや各国の金融不安や、ときには一国の為替不安を引き起こすことにつながっています。
 グローバリゼイションによって、資金移動が容易になった点は世界経済の拡大に裨益するところがありました。しかしそれはあくまでも実物経済に沿う金融手段である場合に限られるでしょう。資金の動きが生産を刺激し、モノやサービスの流動性を高め、これらの移動や消費につながるものでなくてはなりません。つまり、金融取引を実物経済の裏づけをもったものに引き戻すべきです。
 イスラム教のコーランにおいては「金利」を禁止しているために、イスラム金融では実物経済につながる投資や取引に沿う金融取引が盛んに行われているようです。ここはひるがえってムハンマドの叡智を反芻してみる必要があるようです。もっとも利子の禁止はアリストテレスの主張にさかのぼるようですが。
 10月7日の読売新聞は「先進7カ国が金融派生商品(デリバティブ)について、金融機関に対していっそうの情報開示を求めることになった」と報じています。遅すぎたくらいのことでしょう。ヘッジファンドの総帥であるソロス氏自身が「もっと規制を強めないといけない」とずいぶん前から発言していました。


http://yottyan.blog.so-net.ne.jp/2008-08-23-1

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