"ネットサーフィンって最近聞かない? それはインターネットが日常になった証拠です。 あなたの日常にインターネットの新たな可能性をお届けします!"
ケータイの妖精高校生が、ないと困るアイテムナンバー1の必須アイテム。
100人に聞いたら、多分95人くらいは答えそうな携帯電話。
でも、莉緒は選ばない残りの5人に入るだろう。
「莉緒、アンタ、今時の高校生にしては珍しいわね。別に買ってあげてもいいのよ?」
母親が莉緒の方をチラっと見ながらも、指は忙しく動いている。
「別にいらない。友達とは学校でしか会わないし。それにしても、お母さんは昭和生まれの癖に携帯使いこなしすぎ」
毎日、主婦トモと頻繁にやり取りしているメールはおろか、着メロも好きな韓流ドラマのテーマ曲。
莉緒は、本当にこの母のお腹から生まれてきたんだろうか?と思っていた。
ケータイ釣りゲームに夢中になっている母親の横顔を呆れて眺め見る。
すると、母親は急に何かを思い出したように指を止めて、莉緒の方を見た。
「そうだ、お姉ちゃんの部屋にある古い携帯をショップに返してきて。今日で契約切れるから」
「は?」
莉緒の姉は転勤で海外に一時的に引っ越してしまい、部屋は事実上封鎖されている。
《というか……入って物を動かした形跡があったら、帰って来た時に殺される》
3年くらい前に、姉の部屋に入ろうとしたら激しく威嚇された記憶を思い出し、莉緒は微かに背筋が寒くなっていた。
「お姉ちゃんの部屋に入ったら、まずいよお。私は17年しか生きてないし、若いから出来ればこの先も生きたいし……」
「それって私への当て付け? まあいいわ。お姉ちゃんに直々にメールで頼まれたのよ。机の引き出しの二段目に入っているみたいだからよろしくね」
母親、52才。姉、32才。沢村家の最強コンビ。
2人がタッグを組めば、きっとこの世に怖い物なんて存在しないのかもしれない。
莉緒はおっとりしている父と、おとなしい25才の兄に似たのか、女の中でも1人だけ性格が違う。
「ほらほら、ご褒美にアンタの分の携帯を買ってあげるからショップで目星を付けておいで」
《だから、私は携帯はいらないんだってば!》
しかし、莉緒は反論する元気もないので、姉の部屋に入るべく覚悟を決めていた。
莉緒の姉である翠は、頭脳明晰でバリバリのキャリアウーマン。
貿易会社に勤めていて、2ヵ月ほど前にアメリカに渡り、向こう5年は日本に帰って来ないだろうと言われている。
「うわーお姉ちゃんの部屋なんて久しぶり」
長期滞在の為、大事な荷物は運び出されているが、漫画本やCDはそのまま置かれている。
その配置は、莉緒が最後に入った時のままだった。
莉緒は懐かしさにしばらく浸っていたが、ふと我に帰って机の引き出しを開けた。
引き出しの中に入っているピンク色の携帯を手に取った。
電源は当然落とされていて、莉緒はちょっとした好奇心から携帯の電源をオンにした。
携帯の待ち受け部分に何かキャラクターらしき物が映ったと思って、それが一瞬で消えたと思ったら……。
「え? な、なに?」
「ふぁー身体がダルイ。って、アンタはダレ?」
莉緒の目の前には、他でもない液晶の中にいたキャラクターがあぐらを掻いて座っていた。
身長は多分20センチくらい、ピンク色の綿帽子のような髪の毛、背中に生えている羽。
ファンタジー映画にでも出てくるような妖精の姿だった。
「それは、こっちの台詞なんだけど……」
「ふーん、アンタ、同じ家にいるって事はミドリの妹? 確か、リオだっけ」
自分の名を突然出された莉緒は、ビクっと身体を硬直させた。
それと同時に、ある事を思い出した。
「もしかして、お姉ちゃんが部屋に入れさせたくなかったのって……」
「ブブー。アタシはミドリの前には姿を現した事はないよ」
《な、何、これ……私、持った事がないから知らないけど、携帯って、こんなファンタジーなおまけが付いてくるの?》
莉緒は、ブツブツと呟いていた。
「アタシは、ケータイの妖精エリーよ。ヨロシク」
「は、はあ……よろしく……」
莉緒は、まるでギャルのような決めポーズを取りながら自己紹介をする妖精に律儀にお辞儀をした。
「これが外の世界なんだー。ネットの海も広いけど、外もいいじゃん」
エリーと名乗るケータイの妖精。
物珍しそうに、羽を忙しく動かして部屋の中をクルクルと飛んでいた。
《……早くショップに行かないと、お母さんに怒られる》
そう思いつつも、莉緒は未だ翠の部屋から動けなかった。
「あ、あの……そろそろショップに行かなきゃいけないの」
莉緒の声を聞くと、エリーは慌てて部屋の隅から莉緒の目の前に飛んできた。
「ショ、ショップって、もしかして、ケータイショップのことぉ?」
エリーの顔が急接近してきたので、莉緒はたじろきかけた。
でも、ここで引いてはいつまで経ってもショップに行けない。
そんな予感がして、莉緒はぐっと我慢した。
「う、うん。この携帯は今日限りで契約切れるみたいで」
「オーマイゴッド!」
エリーは、そのまま急落して床の上にうつ伏せにへたり込んだ。
莉緒は、思わずエリーの羽をそっと触ってみた。
すると、俯いていたエリーが急に振り返りギッと莉緒を睨み付けた。
「何よ、何よ、何よ、ミドリったら! アイツ、未送信メール残したまま、しれっと解約してなかった事にする気?」
「あ、あの……それを私に怒られても」
エリーは、怒りが冷めやらない様子でグルグルと莉緒の周りを飛んでいた。
「つーか、ミドリは今どこよ?」
「お姉ちゃんは、仕事でアメリカに行っちゃったよ。だから、もうこの携帯はいらないんじゃないかな」
莉緒の言葉を聞いて、エリーは再び床に急落した。今度は泣いているのか、身体が微妙に震えてる。
「そうだった……この携帯はグローバル対応じゃないものね……しかも、メモリーが新しい本体に引き継げる機種じゃないし……アタシが悪かったよ、ミドリ……」
《喜怒哀楽が激しい妖精だなあ》
部屋に入って30分。未だに莉緒は動けずにいた。
ケータイの妖精。
エリーの話では、どの携帯にも存在しているのだという。
「姿を見せる場合はまずないけどね。アタシ達がどうしてケータイ宿るようになったか。それは……」
「それは?」
「ふふん、教えて欲しかったら、アタシの言う事を聞いて?」
莉緒は一気に脱力して、肩を落とした。
「わ、分かったよ。どっちにしても、ショップには行かなきゃお母さんに怒られちゃう」
母親は既に莉緒に言った事を忘れたのか、呼びに来る気配はないが、いつ思い出すか分からない。
以前、莉緒が母親の言いつけを守らずに放置していた時……それは、それは恐ろしい雷が落ちたのだ。
「よっし、じゃ外に出ようよ。アタシも部屋の外も飛んでみたいし〜」
「でも、人に見られるとやばいんじゃない?」
「その点は平気。アタシはこのケータイを起動した人にしか見えないよ」
《それじゃ、私は独り言を呟いている怪しい人になるんじゃ……》
莉緒は、そう思ったが埒が明かなそうだったので外に出る事にした。
それに、身体を震わせて泣いていたエリーが打って変わって嬉しそうにしているので、外に出してあげたいと思ったからだ。
「ありがとぉ〜ミドリもいいヤツだけど、リオも負けずにいいヤツじゃん?」
「そ、そんな事ないよ」
エリーは、照れて赤くなっている莉緒の肩に嬉しそうに止まっていた。
莉緒の住んでいる所は、幸いな事に人通りは少なかった。
エリーは、感動した様子であちこち忙しく飛び回っていた。
「仲間ん中で出られたのってアタシだけだよね、うん」
「仲間って、ケータイの妖精仲間?」
周りに人がいない事を確認して、莉緒は近くに飛んでいるエリーに話しかけた。
「そうそう、ネットの海の中で会えるんだ。それぞれの持ち主の愚痴とか言ったりしてさーあっ、これミドリには内緒ね」
姉が聞いたら大変な事になるだろうと莉緒は思っていたが、どっちにしても、この携帯は契約がもう切れる事に思い当たった。
「って……エリー、もしかしてさ」
莉緒は更に続けようとしたが、エリーは莉緒から離れて飛んでいった。
そして、くるっと莉緒の方を向いて、前方に見える公園を興奮して指差した。
「あっ、リオ〜花が丘公園、花が丘公園! ミドリが良く写メしてたとこだよ」
花が丘公園は、莉緒が住んでいる街で一番大きな公園で、四季折々の花が綺麗に咲く所として有名である。
莉緒は、ふと違和感を感じた。
《お姉ちゃんが……公園を写メ?》
「お姉ちゃんって、自然よりも都会が好きなタイプよ? 何かの間違いじゃ……」
すると、エリーはちっちっちっと指を横に振った。
「ミドリはたまにこの公園に来ていたよ。最初は単に気分転換だったけど、違う事が目的になってね。アタシの願い叶えてくれるんでしょ? さっさと付いてくる〜」
「あっ、待ってよ!」
勢い良く飛んで先に進むエリーに、莉緒は必死に付いて行った。
莉緒が最後に花が丘公園に来たのは、小学校の写生会だった。
近くにあるのに、不思議と行く機会はない。
それなのに、姉の翠が通っていたなんて直ぐに信じられる事ではなかった。
「いるかなー。いるといいんだけどさ」
エリーは、キョロキョロと公園の広場を見渡していた。
「いたいた〜! ほら、リオ。モタモタしない」
莉緒は、訳も分からずに付いていくと、エリーが向かった先には1人の若い男が野球のバッドを振っていた。
男は怪訝そうに近寄って来た莉緒を見ていたが、持っていた携帯電話を見て、いきなり詰め寄ってきた。
「き、君! この携帯は……この派手なストラップは……」
「え?」
男は、翠の携帯に付いているラメが入ったアクセサリーストラップに視線を集中させている。
「沢村翠さんの知り合いかい?」
切羽詰った顔の男に、莉緒はどうしていいか分からずに、ふとエリーを探したが、いつの間にか姿を消していた。
「み、翠は私の姉です」
怖い顔をして肩を掴まれて、莉緒は逃げ出したくなったが、目を閉じて我慢した。
すると、掴まれた肩から男の手がふと離れた事を感じて、莉緒は目を開けた。
「そうか、君が莉緒ちゃんなんだね。翠さんから良く話は聞いていたよ」
男は強張っていた顔を、柔らかな笑みに変えた。
莉緒は気が抜けて、芝生の上にしゃがみ込んだ。
男は青山圭介と名乗った。
莉緒はその自己紹介を聞きながら、立ち上がって改めて男に向き直った。
「驚かせてごめんな。翠さんと急に連絡が取れなくなったから焦っていたんだよ」
「あ、あの……お姉ちゃんの彼氏さんなんですか?」
莉緒の素朴な疑問の言葉に、圭介の顔はみるみる内に紅潮した。
「い、いや……違うんだ。俺は日曜日になるといつもここで野球のトレーニングをしているんだけど、ある日、投げたボールがすっぽ抜けちゃって、翠さんの足に当たっちゃったんだ」
「あっ、じゃあ、半年くらい前に足を怪我したのって……」
翠が日曜日に出かけた時に、帰って来たら足を引きずっていた事を莉緒は思い出した。
莉緒が理由を聞いても、はぐらかす一方で本当の事を言う事はなかった。
『大丈夫よ、アンタと違って、ヤワな身体の作りはしてないし』
心配する妹を横目に、そう言って不敵な笑みを浮かべていた。
「そうそう、それだよ。でも、彼女は平気を装っていたけれど、実際はしばらく痛かったんじゃないかと思うんだ……周りの人に心配掛けまいと黙っていたんじゃないかな」
「そうだったんですか」
莉緒は、昔から強い姉しか知らない。
母親とのゴールデンコンビで、気弱な他の家族達をからかう姿しか思い浮かばなかった。
「俺は翠さんに病院に行ってもらおうと何度も掛け合ったけどダメだった。万が一の為に携帯の連絡先の渡したけど、連絡なくてさ。それも俺に余計な負担を掛けさせない為じゃないかな」
翠が気丈に『へーき、へーき』と笑ってかわしている場面が、莉緒には容易に想像出来た。
「翠さんは怪我が治った後もたまにここに来てくれてさ。弁当も持って来てくれたんだよ。残念ながらお手製じゃなかったけど……」
莉緒は知っている。姉が料理が苦手な事を。
「でも、今度は俺がここで怪我しちゃって、しばらく来れなかったんだ。それを知らせようとして、気が付いたんだ。彼女は俺の連絡先を知ってるけど、俺は彼女の連絡先を知らない事を……」
圭介の顔は一瞬曇ったが、それはすぐに晴れた。
「翠さんの妹さんに会えて良かった。彼女に伝えてくれるかな? また公園で待ってるって。いや、メールしてくれてもいいんだ。じゃ、頼んだよ」
「あっ、あの……お姉ちゃんは」
しかし、圭介は莉緒に会った事ですっかり安心した様子で手を振って、広場から離れていった。
《エリー……どうして、ここに連れて来たの? 私はどうしたらいいの?》
圭介が見えなくなった頃、エリーが再び姿を現して、莉緒の肩に乗った。
「ミドリは直ぐに連絡しようと思ったけど、その時には既にアメリカに行っちゃう事を会社から知らされていたから」
「じゃあ、お姉ちゃんはアメリカに行っちゃうから圭介さんの事を無視したの? ひどい」
「違うよ」
エリーは、翠のピンクの携帯を指差した。
「携帯の中の未送信メール読んでみ」
「え? でも、そんな事したら、お姉ちゃんに殺され……」
「いいから、読む!」
凄い剣幕のエリーの迫力に押されて、莉緒はたどたどしく携帯を手に取った。
「えーと、ここを押せばいいの?」
携帯を持った事がない莉緒は、電源以外の操作が出来なかった。
その様子をエリーはしばらくイライラした様子で見ていた。
「ああ、もう。初心者用のチュートリアルをちんたらやってる暇はないんだけどな!」
エリーはそう呟くと、携帯の中に飛び込んでいった。
待ち受けの中にエリーが現れて、ヘルプ画面が映し出された。
莉緒はそれに従って、無事にメール画面にたどり着く事が出来た。
『圭介さん、怪我をなさった事を広場にいる人から伺いました。お見舞いに行きたいですが、病院は何処ですか?』
「何だ、お姉ちゃん知ってたんじゃん。でも、このメールが未送信なのはなんで?」
その疑問を投げかけた直後、待ち受けにエリーが現れた。
『その前の日にアメリカ行きの辞令を受け取ったからだよ。しばらく帰って来れない事を知っていたから、彼との仲をこれ以上発展させたら、自分も彼も辛い事になるって思ったんだ』
「それなら、何でこの未送信メールがあるの? そう決めた後なら、こんなメール作る意味は……」
エリーは待ち受けの中でウィンクして、再び莉緒の前に姿を現した。
「リオ、未送信メールっていうのはね、人の心の迷いを表しているんだよ」
莉緒のおでこを突く、エリーの眼差しは初めて姿を現した時から一番真剣だった。
「メールはなかなか伝える事の出来ない人の心を簡単に伝える事が出来るんだよ。それがアタシ達、ケータイが誇りに思っている使命よ。でもね……」
莉緒はエリーの次の句を待っていたが、なかなか続きの言葉が出てこなかった。
「エリー?」
続きを促す莉緒に、ハッと我に帰ったエリーは言葉を何とか繋げていた。
「……ああ、ごめん。でも、せっかく伝えたい言葉を綴っても、送信ボタンを押してくれなきゃ……しかも、電源まで切られちゃってさ……アタシがいくら伝えてあげたいって思っても」
その言葉で、莉緒はエリーがどれだけ姉の翠の事を思っているのかが痛いほど伝わってきた。
なおも、エリーは莉緒に思いをぶつけた。
「アタシはミドリの想いの全てを知っている。でも、アタシには何も出来ない」
「出来たよ」
「え?」
驚くエリーのフワフワな綿菓子の髪の毛を、莉緒は優しく撫でた。
「わざわざそれを伝える為に、私をここに連れて来てくれたじゃん」
「それは、リオが電源を付けてくれたから! アタシ、嬉しくてさ。嬉しい思いが溢れて、気が付いたら外に飛び出せたんだ」
エリーの涙が、ピンクの携帯の液晶に落ちる。知らない間に、莉緒の目にも涙が浮かんでいた。
莉緒は、持っていたハンカチで自分の瞳と、エリーの小さな瞳をそっと拭いた。
「エリーの思いは受け取ったよ。あとは私に任せて!」
「リオ……やっぱり知って」
「うん、この携帯の契約が切れちゃうから、エリーとはこれでお別れ……なんだよね?」
エリーはコクリと頷いた。
「アタシはミドリ一筋! でも……リオもいいヤツだったよ」
そう言うと、照れたように莉緒に背を向けた。
「じゃ、ミドリの事をヨロシク! アンタ、ミドリと違ってボーっとしているからショップに行く道、間違えないでよ」
エリーは背を向けたまま、身体はどんどん透けていった。
「あっ、忘れてた。ケータイに妖精が宿る理由を教える約束だったよね」
「答えはもらったよ。ケータイには、人の強い想いが詰まっているからだよね?」
エリーは満足そうに頷くと、それを最後に携帯の画面に吸い込まれていった。
莉緒は、残されたピンクの携帯電話をしっかりと握っていた。
泣き腫らした目を公園の水道で冷やして、莉緒の足はショップへと向かっていった。
事務的な手続きを済ませて、翠の携帯はショップの中へと消えていった。
「あ、あの! 私もケータイが欲しいんです」
ショップの女性店員は、莉緒に微笑みかけて大きな封筒を取り出した。
「このパンフレットをお持ち帰り下さい。またお待ちしておりますね」
莉緒は、その封筒を大事そうに抱えて家路へと向かった。
家に着くなり、早速、母親に姉の現在の携帯メールアドレスを聞いた。
そして、ショップの封筒の中身がパンフレットだという事を知ると感激の声を漏らす。
「まあまあ、莉緒もとうとう携帯を持つ気になったのね! お母さん、嬉しいわ」
莉緒は感動冷めやらない母を横目に、書いたメモを握り締めて自分の部屋に戻った。
「次の日曜日に圭介さんにこのメモを渡せばいいよね。アメリカに行ってしばらく帰ってこない事も伝えた上で」
莉緒は、メモを大事に机の中にしまった。
「その後、どうするかは2人の勝手だけどね。メルアドを彼に教えた事がバレたら、お姉ちゃん怒るだろうなあ……」
それでも、莉緒はエリーの思いを引き継ぐ為に、メモを渡す決意を揺るがすつもりはなかった。
どのケータイにも宿るという、想いを伝えるサポートをしてくれる妖精。
《私が買う携帯にも、エリーみたいに素敵な妖精が付いていてくれるといいな》
莉緒は、パンフレットを広げて、中に載っているカラフルな数々のケータイを眺めていた。
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